質屋のマンガ『七つ屋 志のぶの宝石匣』
以前、質屋に7のつく日を定休日にしている理由をご紹介したことがありました。
今回もcoffee breakとして質屋に関する豆知識をお届けします。
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、質屋のことを関西では「一六銀行」、関東では「七ツ屋」と言う呼び方をする方がいます。これも定休日と同じく「質(しち)」と「7(しち)」で読みが同じところから来ているそうです。一六銀行は数字の一と六を足せば七。それに金融機関の代表である銀行の名前をつけて一六銀行。質屋が庶民にとって銀行としての役割を担っていたからこそ、親しみを込めてこうした名前がついたのかもしれません。そしてもう一つご紹介した七ツ屋という呼び方。こちらは江戸っ子のイメージで、江戸時代の浮世草子にも質屋が七ツ屋の名前で登場しています。
前振りが長くなりましたが、今回はその七ツ屋という名前をタイトルにしているマンガのご紹介です。
七つ屋 志のぶの宝石匣
皆さんは『のだめカンタービレ』というマンガをご存知ですか。2006年10月から12月まで連続ドラマとして放送され、その人気から特別編が2008年に、さらに2009年・2010年には映画にもなったので、覚えていらっしゃる方も多いと思います。あのマンガの作者・二ノ宮知子先生が女性漫画誌「KISS」で連載しているのが『七つ屋 志のぶの宝石匣』というマンガです。タイトルに「七つ屋」と入っていることからもお分かりのように、このマンガの舞台は質屋。
オフィシャルサイトの作品紹介では
七つ屋 志のぶの宝石匣
舞台は東京下町の質屋、そこは色んな人が集まる、人間味あふれる場所──。 ある日、志のぶの元にブルーダイアが持ち込まれた。一方、顕が金持ちマダムから大きなダイアの鑑定を託される。この二つのダイアには、裏があって…。 「宝石×質屋」=新・二ノ宮劇場の開幕です──!!
となっています。質トダ屋は全国質屋組合連合会に加盟しているのですが、このマンガ、実は当初より全国質屋組合連合会が全面的にバックアップしています。だから、全国質屋組合連合会のイメージキャラクターにしちまる君も登場するカットがあったり、「古物商許可証」「受け出し」「全国質屋ブランド品協会(作品の中では全国質屋ブランド品研究会となっていました)」など質屋に関係する言葉がたくさん出てきます。もちろん査定道具なんかも出てきます。また連合会に加盟している質屋さんが先生からの問い合わせに対して、エピソードを紹介することもあるそうで、そうしたリアリティが作品を面白くしているんだと思えるマンガです。ちなみにマンガの舞台となっている質店・倉田屋も全国質屋組合連合会の加盟店という設定だそうです。質屋のしちまるの公式ページに
女性漫画誌「KISS」で好評連載中の七つ屋志のぶの宝石匣。志のぶと顕定に代わり、現役の質屋が勝手に詳しく解説!!
というコンテンツがあるので興味のある方は一度覗いてみてください。
南総里見八犬伝の滝沢馬琴と質屋
ちなみに有名な作家つながりのトレビアとしては、あの『南総里見八犬伝』を書いた曲亭馬琴[滝沢馬琴]が質屋を題材にした作品として、『昔語質屋庫』という作品を残しています。質屋の庫にある道具たちが、夜中にそれぞれの仮の姿を現わして身の上話をするという話で、「諸葛孔明陣大鼓」「平将門袞竜装束」「橘逸勢薄命一行物」「九尾狐裘」など歴史上の有名な事件や人物をテーマにした内容です。こちらは国立国会図書館デジタルコレクションで確認できます。
リンク先
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/879628
いかがでしょうか。
今回は質屋に関連した作品がある有名作家をご紹介しました。江戸時代も今も生活に根付いているからこそ、質屋は有名な先生に取り上げてもらえるのかもしれません。質トダ屋も地域に密着した質屋として皆様の生活に根付いたお店を目指していきます。今後ともよろしくお願い致します。